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2016.03.15

アパレル業界の将来を担う学舎が誕生!? gujiの人材育成型店舗とは。

Dialogue

アパレル業界の将来を担う学舎が誕生!? gujiの人材育成型店舗とは。

今年10周年を迎えるgujiがあらたにオープンするショップはその名も”guji laboratorio”。
“laboratorio”とは研究室や実習室を意味するイタリア語であり、そのネーミングからもショップをオープンする意図が感じられますが、そこに込められた狙いやこれからの展望について弊社代表田野に語ってもらいました。
20数年前、田野がアパレル業界の門をたたいた際に初めてアルバイトとして務めたセレクトショップの当時の店長であり、現在はセレクトショップDESIGNWORKSのメンズディレクターとして活躍する川城氏をゲストに迎え、図らずも師匠と弟子の邂逅となった対談の模様をリポートしたいと思います。

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この写真だけで師弟関係がわかります。


それでは、宜しくお願い致します。


弊社代表田野(以下、田野):よろしくお願いします。

ディレクター川城氏(以下、川城):よろしくお願いします。


まずはguji laboratorioをオープンすることになったきっかけや経緯から教えてください。


田野:先日も新店(balcone di guji)をオープンさせて頂くなど、なんとか節目の10周年を迎えることができました。店舗数も少しずつですが増えてきましたし、スタッフの数もスター ト時に比べると増え、これからも立ち止まることなく店舗を増やし、より幅広いファッションを提案したいと思っています。
・・・・と鼻息荒く言いたい所なんですが、実は数年前から慢性的に問題を抱えている状態でして、ちょっと如何ともしがたい状況になってきてましたので、それを解決するためのひとつの手段としてguji laboratorioを計画したんです。

川城:まさかここまでやるとは思ってなかったよ・・・。
お世辞抜きに凄く頑張ってると思うよ。あのとりたてて特徴がなかった田野が・・・。

田野:・・・(汗)。今、アパレル業界は人材不足であり、おそらくどのショップもスタッフの確保や育成に苦労していると思います。もちろん僕達gujiもその例にもれず苦労しているんですが、そんななかでもなんとかやってくることができました。
ただ、これからのことを考えるとどうにか人材を確保する手段を持たないと、今後の会社の発展は望めないな・・・ と思っているんです。

川城:確かに、店を経営していると結局は人の問題にぶち当たる。人・物・器といってもやぱり「人」の部分が凄く大きいよね。

田野:そうですね、それを聞いてますます頑張らないといけないなと思いました・・・。
だからこそ、今最も枯渇している資源である「人」のパーソナルな部分の強化を目指してみっちりと育てる自前の施設のようなものが作りたかったんです。

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熱く語るふたり。

川城:僕らが若かったころはバブルの真っただ中で、世の中にも人にも凄く勢いがあった。
まだまだ情報が少なかった時代でアメリカやヨーロッパの文化を伝えるセレクトショップの販売員なんて、本当に人気のある仕事だったよね。ほっといても人が来たし、みんな何かに憧れをもっていた。

田野:そうなんです。僕も学生アルバイトだった時は早く年を取って大人になりたかった。
いつも背中を見ている格好いい先輩のような大人になりたかったんです。先日B.R.SHOPを経営されている大和さんと食事をしている中で、僕たちは同い 年なんですが、「僕らはとにかく早く大人になりたかった、でも、今の若者は大人になりたくないと思っている」、「だからこそ、自分たちが格好良い大人を目 指し、また格好良い大人が増えるようなお店にして若者に背中を見せないと・・・」という話になったんです。

川城:確かに、時代が変わっているとはいえ、今の僕らが若者に同じものを見せることが出 来ているのかな・・・と思うことはあるよね。僕らはどうしても洋服屋で働きたいと思ってこの業界に入ったけど、最近は就職先のひとつというか、給料を得る ための単なる仕事という風に考えている人も多そう。洋服に対する情熱も薄いように感じるし、日本においては洋服屋の社会的地位は決して高いものではない し。

田野:そうなんです。募集してもなかなか人が集まらないし、待ち続けるわけにも多額の広告費を払って大々的にアピールする余裕もない・・・となると、自前で育てるしかないんですよね。
僕は野球が好きなんですが、今圧倒的な戦力で優勝しているソフトバンクホークスは3軍まであり、生え抜きの選手がどんどん活躍し、スターになっている。そ れほどとはもちろん言いませんが、そんな環境にgujiをしたかった。ということで極めて小さな小石級の一石ではありますが、投じることで現状を変えたい と思っています。

川城:スタッフの教育機関のようなものがそのguji laboratorioなの?

田野:そうなんです。

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渋みがほとばしる川城氏


早速熱い話になっていますが、実際の運営はどうするんですか?


川城:そうそう、どうするの?田野が教えるの?

田野:もちろん僕も積極的にlaboratorioの店頭に立ち、教えられることは教えて行くつもりですが、基本的には全て若手スタッフで運営してもらいます。 純粋な教育機関とするほど僕たちに余裕はありませんので、販売を含めた実際のショップ運営を通して育てていきたいと思っていますし、実際のお金の流れを把握してもらう為商品のバイイングにも同行させ、経験を積ませます。

川城:なるほど、仕入れから販売、お金の流れまでショップ運営にかかわることを一通り体験し、経験値を積むことができるしくみということか。若い子にいきなりバイイングなんかさせて大丈夫なの?

田野:そこはやってみないとわからないというか、心配ではありますがgujiバイヤーに 同行する形なのでまぁなんとかなるかと。毎日ネットで名言集みたいなのを見るのが日課なんですが、そこにも「とにかくやってみないと」みたいなことが書い てあったので、じゃあやってみようかな・・・と。

川城:突拍子もないことを始めるのかと思ったけど、アプローチとしては案外普通だね(笑)。


さすが師匠、さらっと厳しい一言を・・・。laboratorioで働き続けたとして、その後はどうなるんですか?


田野:とりあえず3年で絶対に卒業してもらいます。その後はgujiのスタッフとして働くも良し、別のセレクトショップや代理店に就職するも良し、独立するも良しという感じです。
独立ならサポートも考えていますし、とりあえず販売員としての道の選択肢を増やしてあげたいと思っています。

川城:昔の暖簾分けみたいな感じもありっちゃあありか・・・。いいかもしれないね。

田野:・・・(ほっ)。

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安堵の表情を浮かべる田野

川城:店はどこに出すの?

田野:京都の北山の辺りです。

川城:またマニアックなところに・・・。以前はBEAMSさんや小さなセレクトショップなんかたくさんあった所だと思うけど、今はどうなの?

田野:洋服屋は少なくなってますし、正直人通りは少ないと思います・・・。
でも僕たちが負担できる家賃となると中心地は難しいですし、環境が良さそうなのと、何か可能性を感じましたので北山に決めました。

川城:確かに、今ってどんどん新しい商業施設ができるから、集客もどんどん新らしい方に向いてしまう。だから僕らの店も他のセレクトも新しい施設に移転して集客を稼がないといけない状況になってるから、逆に静かなところの路面店なんか面白いかもしれないね。
最終的にはパーソナルな部分になってくると思うから、集客が少ない方がスタッフが鍛えられるかも・・・。 ところで、今のスタッフの接客ってどうなの?

田野:そうですね、個性というか、濃さという部分においてはやっぱり薄くなっていると思います。凄く丁寧な対応でそつなくこなせるんですが、どこかマニュアル的というか、魂的なものが感じられにくいですね。

川城:知識って重要だけどそれだけじゃないし、丁寧なだけでも心に残らない。ネットで大概の事は調べられるからこそ、リアルなもてなしって何かを考えないといけないよね。でもそれが難しい。

田野:バイイングに同行して自分が良いと思ったものを仕入れ、実際に販売するのと別のバイヤーが仕入れてきた商品を売るだけではやっぱり気持ちの入り方が違うと思うんです。なので、まずはその辺りからというところでしょうか。

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ちなみに、当時田野はどんなスタッフだったんですか?


川城:そうだね、一言で言うと面白みのないスタッフだったね(笑)。バブルの最中でまだ 19か20くらいだっと思うけど、オールデンにスラックス穿いて若いのにオッサンみたいな格好してた(笑)。コンサバの境地みたいな感じで全くファッショ ンで挑戦しないみたいな、良く言うと落ち着いてる、悪く言うとジジ臭い感じかな。
完成されていて、今のスタイルもそんなに変わってないんじゃないの?でも変な自信だけあって、採用面接の時なんかは「僕を採らない訳ないでしょ」みたいな変な自信を感じたね。

田野:(汗)

川城:別に何か大きな失敗をやらかしたとか、そういった話題もないし、そつなくこなしてた感じかな・・・?

田野:特に趣味もないですし、何かに打ち込んだわけでもない(汗)
自分では気付かなかったんですが、ほんとに面白みがないですね・・・(哀)。

川城:でも接客は上手かったよ。変なコミュニケーション能力を発揮して、人の懐に忍び込むみたいな。多分前職でもそのコミュニケーション能力だけで昇進していったんじゃないかな(笑)
飲みにもよく行ったし、付き合いは良かったよね。

田野:「レザーブルゾン着て来たら今日は六本木に飲みに行く」とか、暗黙のルールがあってなかなか大変でした。凄い体育会系でしたし、飲み屋でもいろいろありました(汗)。

川城:飲みニケーション能力だけは高かった。

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謎の表情の田野とそれをクールに見る川城氏

 

ということで、とにもかくにもgujiの教育機関である”guji laboratorio”がオープン致しました。
通常2人体制という少人数制ですが、明日のgujiを、ひいては将来のアパレル業界を担うスタッフがここから生まれてきてくれることを期待しています。
今回はお忙しい中対談に協力してくださいました川城氏、本当にありがとうございました。

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フレッシュさが売りのguji laboratorio一号生康本・小林がお迎え致します